都内で交通の便がよく、周囲の環境も良好、価格もお手ごろ。こんな墓地があれば、だれでも飛びつくでしょう。しかし都立霊園の場合、青山(港区)、雑司ヶ谷・染井(豊島区)、谷中(台東区)はすでに満杯、募集はありません。都下の多磨、小平、八王子でも募集数は左の表の通り、ごくわずかです。これに対してお墓の需要はどのくらいあるのでしょうか。厚生省の人□問題研究所によれば、年平均で8万人が亡くなっているというデータがあり、墓地不足は決定的と言ってよさそうです。
また、同じ都会でも関西になると事情は少し違うようです。大阪市の場合、やはり市内に墓を持つのは難しいことには変わりはないのですが、公営霊園などは余り気味だということです。
東京都が管理・運営している都立霊園は現在8ヵ所あり、そのうち多磨・小平・ハ王子・八柱の4霊園で返還された墓地を整備して年に1回、公募しています。また多磨と八柱では平成3年度から壁型埋蔵施設を、多磨霊園内の「みたま堂」は平成5年からロッカー式の墓所を、募集しています。
それぞれの霊園について、平成13年度の募集・応募状況を見てみると、平均倍率は7.68倍。しかし普通に墓石を建てるかたちの一般埋蔵施設をみると、多磨霊園は40倍。小平霊園は70倍というように、人気がある霊園の倍率はかなり高い狭き門です。「都立霊園では抽選に優先順位などはいっさいありません。したがって毎年応募しているのに霊園が利用できないと嘆く方がいることは事実です。
これに対して大阪の公営霊園は、墓地がだぶついている状態。7月下旬に1次募集をして抽選した後、落選者を対象に翌月再募集をかけます。そして残りを9月中旬から翌年3月中旬まで先着順で受付ける常時墓集まで行うという状況なのです。
もっとも、残るのは山の斜面に造った「階段墓所」だから人気がないともいえます。それにしても東京都の霊園とはずいふん事情が違うものです。
公営霊園とは原則として各市町村が業務を行うものとなっており、県(府・道)営霊園というのはありません。ただ、東京都にかぎっては明治時代に当時の東京府が青山、雑司ヶ谷など6ヵ所に墓地を造成し、管理するようになったことが引き継がれ、現在の都立霊園となったいきさつがあります。 都立霊園を利用するには、都内に5年以上居住しており埋葬すべき遺骨を持っている、また申し込む人が祭祀の主宰者であることなど、いくつかの条件を満たしていなければ応募することができません。たとえ応募しても審査をして、条件を満たしていないものは失格となってしまいます。
大阪の公営霊園の場合は、府や市の外郭団体が半官半民のかたちで運営・管理をしていますが、こちらは東京都に比べるとおおらかといってもよいほど、資格による規制はありません。
都立霊園では公正を期すために優先順位を設けずに抽選で使用者を決めますが、北摂霊園では地元の人は優先するというところも違います。
やはり公営墓地のほうが安いようです。都営霊園の場合、一平米につき約15万〜。これに対して民営墓地のほうは、ある業者の場合一平米で100万とあります。
墓碑が壁のように立ち並び遺骨はその地下に納めるようになっています。新たに墓碑を建てる必要が無く遺骨を納めるスペース(カロート)まで設置されています。
墓碑の大きさは高さ91センチ、幅75センチ、厚さ15センチ。カロートは直径21センチの骨壷を6つまで納めることのできる広さを持ちます。使用者が手を加えるのはお骨を納めることぐらいで安上がりです。ただ、墓碑やカロートの改造、生垣、土盛、外柵の設置、植樹はできまないなど制約もあります。


墓碑の大きさ
東京都が平成3年度から供給を開始した多磨・八柱霊園の「壁型埋蔵施設」は、将来1万基程度を供給する計画です。しかし、これだけではまだ墓地需要に十分応えることができるとはいえません。
そこでさらに集約化・立体化された墓所として多磨霊園内に建設、平成5年度から供給を開始しだのが「みたま堂」です。これはいわゆる「ロッカー式墓所(長期収蔵施設)」で、最大直径61メートル、高さ約20メートルの円形をした巨大な納骨堂の壁面全体に6層のロッカー型納骨壇が並んでいます。納骨壇には6体用、4体用、2体用の3種類の大きさがあり、納骨壇の数は5200。納めることができる遺骨の数は全部で2万1840体です。利用者は納骨と改葬するときだけ納骨壇の前まで入ることができますが、以後お参りをするときは法事もふくめて、納骨堂正面にある参拝場所かあるいは納骨堂内の中央ホールで行います。
公営霊園ではこれまで、単身者など、後を引き継ぐ者のないお墓は供給してこなかったのですが、新形式のお墓ではそうした人々も積極的に受け入れていくとのこと。しかし関西では、いまだにお墓といえば上墓というイメージが定着しており、新しいかたちのものはなかなかできない状況があるようです。
公営墓地は、新規のお骨を現在持っている人でなければ申し込む資格がありません。したがって、生前に自分の墓を確保しておきたいと思っても、無理なのです。
しかし民営の霊園ではむしろ事情は逆で、全体の80パーセントくらいが生前建墓(これを寿陵といいます)だということです。
 そこで公営墓地でも、将来的には生前の申し込みを認める可能性があるようです。現在、建設を計画している合葬型墓地は、単身者や跡継ぎのいない夫婦も対象にするのですが、このお墓では生前からの申し込みもできるように、検討しているということです。