■建墓の期限を守る
お墓をいつまでに建てたらよいかということには、決まりはありません。ただし、墓地使用規則にお墓の使用権取得後、○年以内に墓石を建てなければならない、と決められている場合には守らなければなりません。
こうした建墓の期限は、お墓に対する権利をはっきりさせるために設けられていることが多いのです。
「お墓の取得」は「お墓の永代使用権の取得」ですから、土地の登記がされるわけでもなく、使用権を主張するには、実際に使用するのがいちばんなのです。墓石を建てる前に、まず外柵や境界石を設置することが勧められているのもそうした理由です。
公営墓地など、墓石の設置を義務づけていない場合でも、区画を明確にするために、外柵や境界石の設置を義務づけている場合があります。

■実際には一周忌までが多い
お墓を取得するのは、生前にお墓を建てる場合を除き、家族の死に直面してからです。あわただしい葬儀を終えて、なんとか従来の生活のペースを取り戻したとき、お墓をどうするかということが問題になります。
仏式では納骨は忌明けにすることが多いようです。忌明けは一般的には四十九日ですが、三十五日の場合もあります。
神式では五十日祭などに納骨をしたり、キリスト教式では月の命日や1年目の命日などに納骨することが多いようです。
納骨に間に合うようにお墓を建てたり、カロートを造ったりするのがふつうです。
一般的に多いのは、百ヶ日や一周忌に納骨し、それに合わせてお墓を建てるというものです。家族の死に直面して、それからお墓を探し、実際にお墓を建てるということになると、一般的には、それぐらいの日数は最低限必要になります。

■墓石は建てなくてもよい
墓石は必ず建てなければならないというものではありません。
墓石の代わりに、木の柱や石などを墓標としている場合も、多く見られます。
ただし、公営墓地などでは、3年以内などの一定期間内に遺骨を埋蔵しなければならないと決められているので、埋蔵のためのカロート(地下納骨施設)だけは造る必要があります。

■すぐに建てられないとき
お墓は取得したけれども、経済的にすぐには墓石を建てることができないことがあります。
そういうときは、無理をせず、建てられるようになってからでよいのです。

■段階的に建てる
お墓を一度に完成させるのではなく、少しずつ建ててゆくこともできます。その場合、ふつうは次のような順序になります。
1.境界石とカロートを設置する
自分のお墓の区画を明示するためにも、最初に境界石を設置します。境界石が外柵と一体になっている場合には、外柵工事ということになります。
既に境界石などが設置されている場合は、不要です。
次にカロート(地下納骨施設)を造れば、遺骨の埋蔵ができます。
墓標は木製のものを建てておきます。
2.外柵や門柱などを設置する
境界石の上に外柵を付けたり、門柱を建てたりします。
3.墓石を建てる
最後に墓石を建てます。都合によっては、2と3を逆にして、墓石を建ててから外柵や門柱などを建ててもよいでしょう。
広さに余裕があり、墓誌や燈籠を置く場合には、それらを最後にします。

■できれば三回忌までに
無理をせずに建てればよい、とはいっても、忌明け(四十九日または三十五日)が過ぎたら、できるだけ早く、遅くても三目忌までにはお墓を建てたいものです。
一周忌まで、あるいは三目忌までにはお墓を建てることができる、という場合には、遺骨いば家で安置するか、納骨堂などの一時収蔵施設に預けます。

■記念碑的な墓石の場合
お墓を故人の供養のためのものではなく、故人をしのぶためのものとして建てたい人もいます。
遺骨は土に還すことを選んだけれども、お墓は個性的で明るい感じのものにしたい、と望む人が増えています。
そうした場合には、墓石に関する制限などのない公園墓地を選ぶ必要があります。墓石に関する制限のある霊園では、自由なデザインを選ぶことはできません。
仏教にこだわらず、また供養に重きを置かないのであれば、忌明けとか三目忌などにこだわることもありません。
埋葬の期限が決められていない場合には、埋葬や建墓の時期も自由です。
境界石などが設置されていない場合には、早めに外柵や境界石を設置したり、何らかの墓標を建てておいたほうがよいでしょう。

■生前に自分のお墓を建てる
生前に建てたお墓を寿陵といいます。ただ、「陵」はもともと天皇の墓を意味するので、この用語を使わない人もいます。
生前に自分の墓地を取得し、お墓を建てるのには、次のような理由が考えられます。
1.自分の考えに合ったお墓を建てたい。
2.お墓のことで、子供に負担をかけたくない。
ただ、自分の考え方に合ったお墓とはいっても、あまりにも突飛なものは、承継者がいる場合には承継者の精神的な負担になったりもします。できれば、自分の考えにも合い、子孫にも負担とならないようなお墓が望ましいといえるでしょう。
公営の一部の墓地では、合祀墓や納骨堂以外は、生前の取得ができませんが、民営の公園墓地や寺院墓地では、生前に自分の墓地を取得し、お墓を建てることができます。
墓地を取得し、生前に墓石を建てる場合には、使用契約に墓石などの制限がなければ、使用者の自由が利きます。ただし、墓石の形や大きさについて、多少の制限があることも多いようです。
承継者を欠く家が増えたこともあって、永代供養形式の合祀墓や納骨堂が増えてきました。
埋葬の形態にいろいろと工夫を凝らしている施設も多く、それらの施設は、お墓を生前に取得できるというよりは、生前に取得することを目的に造られている、というほうが実態にかなっているようです。
墓石など、お墓の形は既に決まっており、お墓の取得者は、それぞれのお墓の趣旨が気に入って、取得することを決めています。
個人墓でも合祀墓でも、生前に取得した時点で墓石や墓碑に名前を刻むことになります。戒名にしても俗名にしても、生前に刻む場合には、朱色を入れておくのが一般的です。朱は生きている証であり、聖なるお墓から、俗である部分を切り離す意味もあるといわれます。
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