土用
土用の由来
■中国では、世界は木、火、土、金(こん)、水の五つの要素からなるとして、これに季節、方角などを当てはめ、森羅万象の吉凶を説明しています。これを陰陽五行説といい、春=木、夏=火、秋=金、冬=水、そして各季節の気が最も盛んな時期を「土」と決めています。気の盛んなことを、「旺」(おう)といいますが、「土用」は「土旺」が変化したものと考えられています。
■陰暦では立春、立夏、立秋、立冬の前の十八日間が土用に当たります。一年に四回、土用はあるわけですが、今では土用といえば夏の土用をさすようになりました。
■これを現在の暦でいうと、夏の土用は七月二十日か二十一日ごろが「土用の入り」で、八月七日ごろまでつづきます。手紙などで「暑中」というのも、この時期で、日本じゅう高温多湿で最も蒸し暑いころです。自然現象や習慣に、土用芽、土用波、土用掃き、土用干し、土用餅、土用休みなど、「土用」とつけて特別なものとしています。
土用の丑の日とうなぎ
■土用といえば、丑の日をすぐに思い出しますが、なぜ丑の日が重視されるのか、五行陰陽(ごぎょういんょう)説では、神が留守になるので危険な時期とされ、さまざまなタブーがありました。また、丑の方角が「鬼門」とされていたことから、邪気払いの行事とも考えられています。
■今日でも土用の丑の日はうなぎの日という風習がありますが、「万葉集」に大伴家持が「石麻呂(いはまろ)に吾物申す夏痩によしと云ふ物ぞむなぎ取りめせ」と歌っていますから、古くからうなぎは夏バテに効果があるとされていたようです。
■江戸時代には日本のレオナルド・ダ・ヴィンチといわれる平賀源内が、うなぎ屋に看板を頼まれて「今日は丑」と書いだのが評判になり、それ以後、丑の日にうなぎを食べることが定着したといわれています。
■丑の日には「う」のつく食べ物がよいといわれ、うどん、牛、馬、梅干し、うさぎなどを食べる風習がありました。うなぎや肉類は栄養豊富で疲労回復になりますし、うどんや梅干しは食欲を増進してくれますから、夏バテ除けにもなっていたのでしょう。
■また、丑の日に水浴や海水浴をすると病気をしないとか、土用に灸をすえると健康によい、土用餅は力がつくとか、「土用蜆(しじみ)は腹の薬」といってしじみ汁を飲む習慣などもありました。天気のよい土用の間に布団や本などを干す、土用干しの習慣もありましたが、いまではすっかりすたれてしまったようです。