除夜の鐘と年越しそば
除夜の鐘と初詣で
■「除夜」とは夜を除く、つまり寝ない夜ということです。大晦日の夜をそのようにいうのは、年籠(としごもり)といって、近くの社寺に籠って夜を明かすしきたりがあったからです。
■この夜寝ると白髪になるとか、シワができるなどともいわれていました。「寝る」という言葉を忌んで、「穂を積む」「クロを積む」という地方もありました。また、年籠の夜に横になるものではないといい、子どもも遅くまで眠らせないところもありました。神社や民間でも篝火をたく風習がありますが、これは歳神を迎える祭りであると同時に、亡き魂を迎える前夜祭でもあっかからでしょう。
■新年を迎えるばかりとなった夜中の十二時、全国の寺から除夜の鐘が響きはじめます。百八つの鐘は、仏教の思想に基づくもので、中国の宋の時代〈十世紀後半〉にはじまったとされ、この数の由来には諸説あるようですが、人間の持つ百八つの煩悩を追い払い、心身ともに清浄になって新年を迎えるためといわれています。
■鐘は、余韻が消えてから次の鐘を打ち、一つ一つの煩悩を消して、百八つ打ち終わるのに一時間ほどかかります。だいたい十二時を期して打つところが多いようですが、寺によっては十一時にはじめるところ、「捨て鐘」といって二つ余分につくところなどあります。
■この鐘を合図に近くの神社や、その年の恵方に当たる社寺に参るのが「初詣で」です。
年越そばのいわれ
■大晦日を大年、除夜、年夜(としや)、年一夜(としひとや)、除夕(じょせき)、年越しなどといいますが、古くは日が暮れると年棚に供え物をし、家族そろって年取りの祝い膳を食べていました。年越しそばを食べるようになったのは、江戸時代以降のことです。
■みそかそば、つごもりそば、運気そば、福そば、寿命そばなど、各地でよび名はいろいろ。
■腰が強く長いので、そばを食べて寿命が延びますようにとか、末長く繁盛しますように、という願いをこめたものといわれています。
■しかし、商家では掛け売り代金の集金に忙しい最中で、そばなら手っ取り早く食べられますから、後から縁起のよい能書きをつけたのかも知れません。また、金細工師が、蕎麦粉を丸めてころがし、畳板についた金粉を集めたことから、来年もお金が集まるようにと願って、年越しそばがはじまったともいわれています。
現代の年越そば
■年越そばは今では全国的な風習で、都会では、そば屋さんに予約をしなければならないほどです。そば屋さんに頼むときは早めにするのがよいでしょう。