結納の準備
■結納は、長い伝統につちかわれたしきたりなので、地方地方で、まったく千差万別です。たとえば結納飾り一つをとってみても、関西のものなどはたいへん豪華で、いまだに一式数百万円といった高価な品が使われるなど、関東と関西ではこのような慣習の違いがあります。
■このように、地方による違いのほか、結納の形式そのものが、現代の生活にマッチするように、だいぶ簡略化されていますので、準備をするにあたっては、両家〈本人や家族〉と仲人をまじえて十分に話し合います。昔ながらのしきたりをふまえたうえで、現代性と合理性を織り込んでいくことが大切でしょう。
■わからないことがあったら、その土地の知人や先輩にたずねるとか、結納品を扱う専門店や百貨店のブライダルコーナーなどで相談するのもよいでしょう。
結納の日どりと形式を決める
両家がよく相談して
■結納の日どりについては、両家が相談し合って適当な日をきめます。いよいよ縁談がまとまってから挙式の予定日まで、その期間の長短によって結納の期日も適当にきめられるわけですが、一〜ニヵ月以内に挙式する場合は、話がきまったら十日〜二十日以内に結納というのが適当で、半年以上のときは、ニヵ月ぐらいの期間をおいてもおかしくはありません。
暦の日より双方の都合を優先する
■結納は、仲人夫妻〈仲人をたてない場合は男性側の両親〉が女性宅を訪れ、女性方の両親とあいさつを交わし、結納品の交換をすませたあと、本人や家族をまじえて祝宴を張るならわしとなっているおめでたい儀式です。結婚式と同様、暦のうえの吉日の午前を選ぶのが一般の風習ですが、暦のうえの吉凶などは迷信ですから近ごろは問題としない向きが多くなりました。
■両家の仕事の都合や事情によって日曜日を選んだり、両人のいずれかの誕生日を記念して行う傾向もみられます。ただ家族に日どりの吉凶をたいへん気にする人がいる場合には、いちおう暦と相談して、家族ぐるみで円満に、この日をめでたく過ごしたいものです。
■また時間も、暗くならないうちにすませれば午前でも午後でもよいでしょう。最近は、日曜や祝休日の午前十時ごろから午後三時ごろまでの時間帯が多いようです。
仲人が両家を往復するのが正式
結納の形式としては、
|
1
|
昔から行われてきたように、使者〈あるいは仲人〉が双方の家を往復して結納を授受する。
|
|
2
|
女性の家に仲人と男性が出向いて結納を取り交わす。
|
|
3
|
双方が一ヵ所に集まって、そこで取り交わしを行う。
|
などの方法があり、大体この三つのやり方のなかから選ぶことになります。
■このうち、もっとも正式なのは1のやり方ですが、これは時間がかかるうえに、仲人の労力も大変です。最近では、たとえば遠く離れたふるさとをもつ二人が結婚するというような例もふえており、したがって、往復が大変なことや、都市の住宅事情ということもあって、仲人の家や、ホテル、料亭などの一室に双方が集まって
結納式を行うというケースが多くなりました。
結納品
結納品の組み合わせは
■昔の
結納は、男性から女性へ帯地を、女性から男性へは袴地と酒やさかなを添えて贈りました。現代では、これらの品物を形式化した
結納品のセットがあり、これに
結納金を加えて交換します。
結納品の組み合わせ方はさまざまですが、ふつうはつぎの九品が正式とされます。
|
1
|
金宝包 女性に対しては「御帯料」、男性に対しては「御袴料」として、いわゆる結納金を包む。
|
|
2
|
勝男節または松男節(かつおぶし) 鰹節。不時の場合の備えとして長く保存できる食料。剛毅な男性の象徴です。
|
|
3
|
寿留女(するめ) 鰹節と同様に長く保存できる食料。女性をあらわします。
|
|
4
|
子生揚(こんぶ) 昆布。子宝に恵まれることを意味します。子孫繁栄を祈って。
|
|
5
|
友白髪(ともしらが) 麻糸。夫婦そろって白髪となるまでという意味で、二人が協力し合うこと。長寿と健康への祈りをこめて。
|
|
6
|
末広(すえひろ) 純白無地の扇子。潔無垢(むく)とともに、末広がりの縁起から。
|
|
7
|
家内喜多留(やなぎだる) 酒を入れる柳樽のこと。一家の幸せを意味するもの。関東では現物のかわりに現金を包むのが一般的ですが、関西では銚子を使う場合もみられます。
|
■以上の七品に、長熨斗(ながのし)〈あわびののしで長生不死の象徴〉と目録を加えて九品となります。
■つまり、ゴロ合わせの縁起で、2男性と3女性がめでたく結ばれて4子宝にも恵まれ、5夫婦とも白髪になるまで手に手をとって、6末広がりに幸せに、7一家みな健康で喜びに満ち、しあわせでありますように、という意味をこめて、昔は、これらをすべて本物で並べたものでした。
■九品のなかから2勝男節と7家内喜多留を略した七品セット、さらに3寿留女と4子生婦を略した五品セットもあります。
■いずれにしても、日本では、昔から偶数をきらう風習があり、奇数でそろえることになっています。
■これらの
結納品は祝い台の上に並べますが、並べ方はいろいろあるようで、一定していません。祝い台には、お盆形式の簡単なものから、脚のついた鳥台のものまであり、烏台の脚は持ち運びに便利なように組み立て式になっています。
■結納品や祝い台は、デパートや専門店で売っています。
結納品は両家でそろえるとよい
■一般に、関西では「結納を納める」というのに対して、関東では「結納を取り交わす」といい、男性側も女性側も、同じ結納セットを交換します。
■また、関西方面では、伝統やしきたりを重んじるためか、結納品の数が多く、床の間に並べきれないほど豪華なものもあるようです。関東では、略式が多いので、七品セットを利用することが多いようです。
■別々の地方で生まれ育ったカップルの場合はよく話し合ってきめましょう。一般には、両家が同じ品をそろえますが、女性側からの品を一段下げる場合もあるようです。
結納金
結納金の目安は
■結納品のなかの金宝包がいわゆる結納金で、男性側からは「御帯料」、女性からは「御袴料」として包むのが一般的です。
■結納の額をいくらにするかは、頭を悩ますところです。昔から関東では、女性側から半返しといい、また、関西では、お返しをせず、結婚式のとき、おみやげを持っていくとか、最近では一割返しが多く行われているともいいます。
■また、結納金額の基準として、男性の月給の二〜三倍ともいわれ、実際、五十万円、百万円というところがいちばん多いようです。
■しかし、これらは、あくまでも慣習であり、あるいは目安にすぎず、べつにこれときまっているわけではないのですから、双方十分に話し合って、相応の線できめたいものです。
■結納金は、半紙で中包みにしたうえ、全OO万円と書いて祝い紙の中に納めます。
|
結納金と結納返し
|
| ・ |
夫から妻へ
|
妻から夫へ
|
|
納めなかった
|
29%
|
59.8%
|
|
10万未満
|
0.8%
|
1.8%
|
|
10万
|
12.3%
|
|
〜20万未満
|
1.0%
|
|
20万
|
1.8%
|
|
〜30万未満
|
0.3%
|
|
30万
|
2.8%
|
|
〜50万未満
|
1.0%
|
|
50万
|
9.3%
|
6.3%
|
|
〜100万未満
|
9.3%
|
2.5%
|
|
100万
|
3.6%
|
|
〜150万未満
|
42.5%
|
|
150万
|
1.8%
|
|
〜200万未満
|
0.3%
|
|
200万
|
4%
|
|
200万超
|
1.5%
|
|
無回答
|
6%
|
10.8%
|
| ・ |
平均103.2万円
|
平均32.4万円
|
|
|
|
新しい結納の形もある
■近ごろでは、本人たちの希望で、結納を交わさず、指輪や記念品の交換をもって婚約の証(あかし)とするケースもふえてきました。また、女性から贈るのを略し、男性ははじめからお返し分を差し引いた額を贈り、その分だけ旅行や結婚生活に回そうという堅実な生活設計型のカップルもふえているようです。
■なお、男性から婚約指輪を贈るのに対して、女性のほうからは、時計やネクタイピンなどの記念品を返す例が多く、最近は礼服など洋服を贈る例もみられるようです。
■いずれにせよ、大事なのは、これからの結婚生活です。無理はヒビ割れのもとです。まず分相応ということを心得て、十分話し合いもし、また両親の理解を得るよう努力することです。
目録の書き方
■目録は、結納品名と数量を記した送り状で、正式には大奉書紙(ほうしょがみ)を横にして濃くすった墨で書きますが、近ごろでは、結納品とセットで市販されている用紙を使うのがふつうです。
■品数に合わせて印刷されていますから、はじめの空白部に、男性側なら「御帯料 壱封」とか「真珠指輪 壱個」、女性側なら「御袴料 壱封」とか「真珠カフスボタン 壱対」などと、墨で書き込みます。
■さらに年月日と、差出人と先方の名前を記します。日付けは○月吉日とするのが正式。当方や先方の名は、結婚する本人同士の名まえを記すのが最近のやり方です。
■おめでたいことですから、うす墨にならないよう注意し、ていねいに書きます。
受書の書き方
■「受書」は、結納を受け取ったしるしに双方で取り交わすものです。
■「結納目録」や「家族書」「親族書」同様、市販されたものもありますが、奉書紙や美濃紙に自筆で書く場合もあります。
■市販のものを使用する場合は、印刷された用紙の空欄に、「御帯料 壱封」など、目録と同じ品名を書き入れ、年月日と、当方と相手方の名まえを記して渡します。
■なお、ホテルなどの一室で仲人立ち会いで結納式を行うような場合、煩雑を避けて受書を省略する場合もみられるようです。
家族書・親族書の書き方
■結納品と同時に、双方の家族書と親族書を交換するのが一般的な慣習となっています。
■結婚後は親子、きょうだい、親せきとしておつきあいをする人たちを紹介するものです。
■「家族書」には祖父母、父母、きょうだいの順に名まえを書き、「親族書」には、おもな親族―本人の伯父母、叔父母などの名まえを、本人との続き柄や職業、住所などを添えて血縁の濃い順に書きます。親族を、どの範囲まで書くかということは、仲人とも相談して、双方同じように書けばよいでしょう。
■これらの用紙も、やはり市販されています。市販されていないものを使う場合は、奉書紙か美濃紙を二つ折りにして、毛筆で書き、文字が折り目にかからないようにこれを三つに折ります。これを上質紙の上包みに入れて、表に「家族書」または「親族書」と書きます。
■あるいは、二つをいっしょに上包みに入れて「寿」と上書さしてもよいのです。